JNN排他協定とは?
TBSテレビは基本的に系列外の番組販売は行いません。その理由は「JNN排他協定」という内規の存在です。JNN排他協定とは具体的には…
①系列局はJNNと付いた番組は原則として同時ネットしなければならない。
②系列局はJNNニュースなどを録画放送(時差ネット)してはならない。
③系列局はNNN、ANN、FNNの他系列のニュースを放送してはならない。
④系列局は他系列にニュース素材を送ってはならない。
…です。民放テレビ局が2局や3局のところが多かった時代では、系列局が普通にクロスネットの編成がされていても、JNN排他協定は厳格に適用されていました。原則日本テレビ系列の秋田放送や南海放送は早朝にTBSの情報番組が同時ネットされていました。その番組ではJNNニュースが内包されていましたが、差し替えることなくJNNニュースを放送していました。
TBSとフジテレビのクロスネットだった福島テレビとテレビ山口は昼下がりに「FNN奥さまニュース」を同時ネットしていましたが、TBSはこの時間にニュースを放送していなかったため、特に問題視しませんでした。
他系列にニュース素材を送ってはならないという規則はNNN、ANN、FNNにも存在します。特にクロスネットのテレビ大分、テレビ宮崎は苦慮しているようです。日本テレビのフォーマットでフジテレビにニュース素材を送ったら問題になりますし(笑)。テレビ宮崎はANNニュースやFNNニュースのフォーマットで「24時間テレビ」のニュースを伝えていても、それはローカルニュース枠ですし。
昭和の時代ではクロスネットは普通に存在していました。秋田県在住のVBCテレビ様は小学校の七夕の授業で短冊に「秋田県にTBS系が出来て8時だヨ!全員集合が見られますように」と書いていましたが、フリーネットの状態だった長崎放送では土曜日は日本テレビの編成で「全員集合」は1984年まで見られませんでした。北陸放送や南日本放送も「全員集合」は見られても金曜日の「野生の王国」や「金八先生」は日本テレビの「カックラキン大放送!!」「太陽にほえろ!」の編成だったため見られませんでした。また、信越放送や北陸放送は水曜日の「笑ってポン!」や「わくわく動物ランド」は非ネットで、日本テレビ系の「歌のワイド90」をネットしていました。
84年10月にTBSは「JNNニュースコープ」を夜7時20分まで延長して放送しました。これは裏を返せば系列局に「夜8時台に他系列のネットはさせない」と言っているようなものでしょう。それでもテレビ山口は火曜日はフジテレビ系の編成でした。それも87年10月に「JNNニュース・プライムタイム」が夜10時に始まり、テレビ山口はクロスネットの編成ができなくなりました。
やがて「JNN排他協定」はニュースや報道番組だけでなく、バラエティー番組にも適用されるようになりました。系列外にネットされるTBS系の番組はどんどん減らされ、原則として一社提供の番組がスポンサーの好意でネットされる程度です。日立製作所がスポンサーだった一社提供番組の「世界ふしぎ発見!」は日立製作所がスポンサーを事実上降板した事で、日本テレビ系でネットしていた秋田放送などは打ち切りを余儀なくされました。
もっとも「排他協定」は他の系列局でも厳格に適用されるようになりました。日本テレビとテレビ朝日のクロスネットとされている福井放送はゴールデンタイムに他系列(日本テレビ系以外)の番組を放送しているのは土曜日の夜9時台と10時台のみです(時差ネット)。フジテレビも他系列に同時ネットの番組販売は認めないスタンスを取っています。かつてTBSとフジテレビのクロスネットだったテレビ山口は水曜日のローカルセールス枠でフジテレビの番組を同時ネットできそうですが。しかし、テレビ大分とテレビ宮崎は現在でも日本テレビ系とフジテレビ系のクロスネット編成になっています。