2025年03月08日
ACジャパンって何ぞや(笑)

元SMAPの中居正広氏の不適切かつ非常識な行動で文春砲の餌食にされ、フジテレビにも飛び火する格好になり、トヨタ自動車や日産自動車、キッコーマンや花王などのスポンサーが“降板”して、テレビCMがACジャパンばかりになってしまいましたが、2月1日以降は番組宣伝のほか民間放送連盟(民放連)、日本広告審査機構(JARO)のCMも目立つようになりました。
テレビCMがACジャパンに差し替えられる理由の1つ目は企業の不祥事です。日本テレビ「ごちそうさま」のスポンサーだった味の素は数十年前に総会屋の利益供与が発覚して、テレビCMがACジャパン(当時は「公共広告機構」でしたが、便宜上「ACジャパン」と表記します)に差し替えになりましたし、朝日放送「アタック25」のスポンサーだった日興証券は大口株主に対して損失補填した事が発覚してスポンサーを降板。テレビCMがACジャパンに差し替えになりました。
2つ目は放送局の不祥事です。テレビ朝日「アフタヌーンショー」のやらせ事件の時はスポンサーだった花王やタカラスタンダード、ハウス食品、日本ハムなどがスポンサー降板してACジャパンに差し替えになりましたし、関西テレビ「発掘!あるある大事典」ではデータ捏造が発覚して、メインスポンサーだった花王が降板して、CMはしばらくACジャパンに差し替えられました。また関西テレビは「白雪劇場」から続いた日曜日夜9時の制作枠をフジテレビに返上する事態に発展しました。東海テレビも「ぴーかんテレビ」での不適切なテロップでJAグループのCMがACジャパンに差し替えられました(「サザエさん」のスポンサーは当時はJAバンクでしたが、CMは差し替えても提供テロップは差し替えることはありませんでした)。
3つ目は放送局のエリアに事業所がないため、CMを流しても売り上げが伸びるとは思えないためACジャパンのCMに差し替えるケースです。日本テレビ系「箱根駅伝」のスポンサーの一つにPasco(敷島製パン)がありますが、敷島製パンは九州エリアでは展開していないため、福岡放送や鹿児島読売テレビなどの系列局は敷島製パンのCMをACジャパンに差し替えているようです。過去には朝日放送制作「文珍の頭の珍体操」のスポンサーである中納言(伊勢海老料理店)が九州地方になかった事から九州朝日放送は中納言のCMをACジャパンに差し替えました(鹿児島放送はどうなのかは分かりません)。
4つ目は開局したてのテレビ局はスポットCMの枠が埋まらない事があります。1990年に開局した長崎文化放送もその一つで、スポットCMのほとんどが番組宣伝とACジャパンでした(全国ネットのスポンサーCMは流れました)。ちなみに酒井法子氏のACジャパンのCM(交通安全)の後の番組が「ncc交通事故情報」でした(現在はこの番組は放送していません)。内容は先週1週間に長崎県で発生した交通事故の概要を長崎県警交通課の警察官が説明するものでした。
ACジャパンは1971年にサントリーの会長だった佐治敬三氏はアメリカにアメリカACの存在を知り、日本でもアメリカACのような活動はできないものか?と設立したのが関西公共広告機構でした。佐治敬三氏は「広告は人を説得するための最も強力な手段」と考えていて、広告を手段に商売をしている大企業の社長として、公共の問題について社会に訴えていくことで広告に「お返し」をしたいと思っていた事も設立のきっかけでした。
初めて関西公共広告機構のCMが流れたのは1972年2月に映画解説者の淀川長治氏が出演したCMでした。駅のホームでタバコの吸い殻をポイ捨てして、駅員が掃いているのにポイ捨てした人間は何とも感じないのか?とマナー向上を呼びかけるものでした。
当時のACジャパンのCMはマナー向上や環境問題などドキュメンタリータッチのものが多かったですが、現在のACジャパンのCMは「あしなが育英会」などACジャパンが協賛する団体のCMが中心になっています。
蛇足ですが、佐治敬三氏は1988年に「東北は熊襲の産地で…」(実は「熊襲」は熊本や鹿児島など南九州の総称)と暴言を吐き、東北地方でサントリー商品の不買運動が勃発。サントリーのテレビCMもACジャパンに差し替えられました(サントリーが冠スポンサーのTBS系「サントリー・料理天国」も同様)。自ら惹起した不祥事で、自らが経営する企業CMが自ら立ち上げた団体のCMに差し替えられるのは皮肉なものです。
Posted by うさぎいぬ at 12:00│Comments(0)