2025年04月29日

オワコン化しつつあるもの②「グランクラス」


JR東日本が先日発表した新型新幹線車両「E10系」にグリーン車を超える上級客室「グランクラス」の導入は見送られました。グランクラスは2011年のダイヤ改正時に東北新幹線のE5系(H5系)に導入されました。理由はグランクラスの利用率が低い事が挙げられます。

東北新幹線・北海道新幹線で使われているE5系(H5系)のグランクラスはJR東日本、日立製作所、川崎重工業車両カンパニー、レカロが共同開発したものを採用し、北陸新幹線および上越新幹線で使われているE7系(W7系)のグランクラスはトヨタグループのトヨタ紡織が開発したものを採用しています。

グランクラスの嚆矢と言えるのは787系特急車両の「グリーンDX」です。これは「トップキャビン」と呼ばれる半個室を改造したものです。トップキャビンは向かい合わせになっていて、中央に大型テーブルを備えていました。いわゆる“10時打ち”に6人で予約すれば個室になりますが、景気が悪くなった時期だったため、6人で予約するほど企業も裕福ではなかったため、相席になる事が多かったです。トップキャビンのメリットは後ろに乗客がいないため、思い切りリクライニングを倒す事ができる程度です。改造されたグリーンDXは151系パーラーカーの再現とも言われました。

当初のグランクラスは軽食(和定食と洋定食が選べるが、お代わりは不可)や茶菓、フリードリンク(乗客がアテンダントに注文する形で、ファミリーレストランやインターネットカフェのドリンクバーのように自分で持って来る事はできない)のほか、マガジンラックに備え付けの新聞や雑誌を読む事ができましたが、後に座席のみ(軽食やドリンクなどのサービスを省略したもの)のグランクラスも登場しました。料金は軽食付きのものより若干安い程度です。蛇足ですがJR九州の特急列車のグリーン車にもドリンクサービス(ホットコーヒーかポリ容器に入った緑茶。その頃はまだペットボトル入りのお茶は存在しなかった)や雑誌のサービス(車内で読むもので持ち帰りはNG)がありましたが取りやめになりました。雑誌を持ち帰ったりする輩がいたり車内販売の廃止(営業会社の清算イコール廃業)も理由の一つでしょう。

北陸新幹線のグランクラスは「かがやき」のほか「はくたか」にも軽食付きのグランクラスがありましたが、「はくたか」のグランクラスはすべて座席のみのサービスに変わり、サービス低下という感は否めません。グランクラス専門のアテンダントは養成するのが大変なので人数が足りないのかも知れません。首都圏普通列車グリーン車のアテンダントに男性乗務員(車掌ではない)はいますが、グランクラスのアテンダントに男性は考えられないでしょう。

また軽食は東京発のものと東北地方・北陸地方発のものとではメニューが異なっていましたが、SDGsの観点から冷凍ものに変わりました。内容もチャチになりグランクラスを次も利用してみたいと思わなくなりました。

東京駅にビューカードゴールド会員(年会費1万円)および東京発のグランクラス利用客向けのラウンジがありますが、東京着のグランクラス利用客はラウンジを利用する事はできません(ビューカードゴールド会員は利用できる)。

一方でJR東海の東海道新幹線ではグリーン車の一部を改造して半個室のグリーン車を導入するようです。バックシェルのシートでグランクラスに似たような座席のようです。料金設定が気になりますが、自称“時刻表の達人”(笑)こと竹澤瑞樹氏によれば「半個室ファーストクラス新設でゴルディロックス効果ねらい+9000円」と見ています。

ちなみに新幹線に存在した個室グリーン車の料金はざっくり書くと1人用および2人用個室の200キロまでは3400円、400キロまでは5000円、600キロまでは6500円、800キロまでは7900円、801キロ以上は9400円です(グリーン料金は部屋ごとの値段)。3人用個室と後に設定された4人用個室は若干安い料金設定でした。1人で2人用個室または3人用個室を利用する場合は、足りない人数分のこどもの運賃と特急料金が必要になります。銭ゲバのJRよりも当時の国鉄のほうが良心的な料金設定ですね、竹澤瑞樹様(笑)。この時代にYouTubeがあったら、ユーチューバーのスーツ氏は3人用個室を1人で過ごす動画をアップするでしょうね(笑)



Posted by うさぎいぬ at 12:00 Comments( 0 )