2011年10月31日
TBSが球団を持った意義は?

TBSが保有する横浜ベイスターズを携帯ゲームサイトのモバゲーで知られるDeNAへの売却を巡り、オーナー会議で一部の球団オーナーから反対の意見があるようです。古い考えの経営者は、IT産業の企業や経営者を好ましく思っていないように感じます。
ところで戦後、プロ野球の親会社になったのは読売新聞や毎日新聞、中日新聞、西日本新聞などのマスコミ系に阪神、阪急、南海、近鉄、西鉄、東急、国鉄などの鉄道系が中心だった。マスコミ系は自分の球団を大々的に取り上げられるメリットがあり、特にジャイアンツの正力松太郎氏は日本テレビ放送網を興し、各地にネットワークを形成した。鉄道系の球団は東急などは別としても、ターミナル駅から自分の鉄道で球場まで運べるメリットがある。
やがて松竹、大映、東映などの映画産業やヤクルト、ロッテ、日本ハムなどの食品メーカーが球団経営に参画するようになる。時代は昭和から平成に変わろうとした時に、南海と阪急の関西二大私鉄は、ダイエーとオリックスという流通業に親会社が代わった。短命ではあるが、太平洋クラブというゴルフ場を経営する企業や日拓という首都圏で不動産業を経営する企業が球団を所有していた時期もあった。日拓は7色ユニホームというユニークなユニホームで知られたが、将来の球団経営に不安を抱いた日拓は僅か一年で日本ハムに売却した。
ベイスターズの親会社はTBSであるが、かつての親会社は大洋漁業(現マルハ)で、球団名は横浜大洋ホエールズであった。親会社の事業の中心であった商業捕鯨が国際的な流れで禁止になり、クジラをモチーフにしたホエールズの名前から、市民球団を前面に押し出したベイスターズを使用するようになり、同時に球団名から企業名が消えた。
TBSがベイスターズを持った経緯は、当初はニッポン放送に株を譲渡する予定だったが、系列グループのフジテレビジョンがヤクルトスワローズの株を所有していた事から、TBSへ株を譲渡する事になった。
元々、TBSは西武戦のテレビ中継を中心に放送してきた放送局である。関東ローカルとはいえ、あの対近鉄とのダブルヘッダー、ブライアントの4連発の試合を中継したのはTBSである(清原が死球に激昂してロッテの平沼に暴行した試合を中継したのもTBS。ちなみにTBSは、この試合の中継で清原を批判した解説者の田淵幸一氏に始末書を書かせたそうである)。世の中の流れがパ・リーグに傾きかけている中で、TBSがベイスターズの親会社になった事で、時代に逆行する形になった。
話は前後するが、もっともパ・リーグの時代と言っても、全国ネットの地上波中継はほとんどない。BSイレブンやTwellVの新興衛星局はロッテ、楽天、西武戦オンリー。ついでに地上波中継では楽天戦は宮城県ローカルだし、ソフトバンク戦は基本的に福岡県ローカル、ファイターズ戦は北海道ローカルである。札幌ドームのファイターズ戦中継を見たいと思っても、NHK衛星かスカパーのGAORAを見るしかない。ちなみに毎日放送が主導のGAORAがファイターズ戦中継をやっているのは、関西スポーツビジョン時代に日本ハムが出資した経緯があるようである。
TBSがベイスターズから手を引いて、再び西武戦中心に中継するのだろうか。BS-TBSやTBSニュースバードでベイスターズ戦を中心に中継して、関東ローカルながらベイスターズの応援番組を放送しておきながら、今さら西武戦中心に乗り換えるのは女々しいだけでなく、TBSの低迷ぶりが見えてきます。
Posted by うさぎいぬ at 07:43│Comments(0)